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中学受験の歩き方:親子の温度差その3

2023-11-07

カテゴリー:中学受験の歩き方,

 親子の温度差その1では「時間感覚に関する温度差」について、その2では「学習内容に関する温度差」について書きました。今日は、「評価に関する温度差」について書いてみたいと思います。
 
 大前提として、今の子どもたちは少子化の環境下で甘やかされて育っています。そして、これに個性を尊重する風潮が加わり、競争力が下がっています。
 
 勉強にしろ、運動にしろ、芸術にしろ、どのような分野であっても競争があり、一定の評価基準が無ければ進歩はありません。それらの分野の評価基準が試験であったり、大会記録であったり、コンクールの成績であったりするわけですし・・・・・大人になって社会に出てからも、他社や他国との競争原理が働くから進歩があるわけです。
 
 ところが最近の子どもたちは、社会の縮図である学校の中で、「子どもに差をつけない」という美名の下に競争を強いられていないため、評価されることに慣れていません。つまり、大人のモノサシと子どものモノサシが違うわけです(苦笑)
 
 誤解の無いように断っておきますが、私は勉強ができることが大事だと言っている訳ではありません。体育や美術や家庭科は、場合によっては算数よりもずっと大事ですし、多面的な教育をバランス良く与え、社会に出て独り立ちできるようにするのが学校教育の本質であると思っています。


 しかし、子どもたちの社会の縮図である学校の評価基準が曖昧になればなるほど、子どもたちが評価そのものを省みなくなっているのも事実だといえます。
 その最たるものが公立小・中学校の通知表でしょう。公立中学校の通知表は5段階が普通ですが・・・・・昔は、全体人数の7%24%38%24%7%となるように相対評価でつけられていました。ところが今は絶対評価が基本ですから・・・・・極論をいえば、全員が5でも良いわけです(笑)
 評価基準が揺らぐと、成績をつける人間の恣意がはたらきますから・・・・・評価される側は困惑するか、評価そのものを度外視するようになります。

 
 お父さんとお母さんの意見が食い違ったときには、子どもは自分にとって都合の良いほうの味方をしますよね?
 
 仮にご夫婦で意見を統一していたとしても・・・・・祖母や祖父が、「そんなに、〜〜させなくても・・・・・」と言ったとたん、自分に都合の良い評価を導入します(苦笑)

 つまり子どもには明確な自我はないのです。したがって、甘い評価を採用します。
 
 ですから、「計算ミスはだめ」というのと「計算ミスだから・・・・・」では、「計算ミスだから・・・・・」を採用するわけです。
 
 したがって、これを矯正するには、明確な評価基準を子どもに理解させることが必要です。
 
 たとえばテストの成績を評価するときに、設問の全体正答率で評価するとか、合格最低点で評価するとか・・・・・明確な評価基準を決めて、その基準に達しているかどうかで評価してあげれば納得するわけです。
 
 なお、模試の成績を判断するときには、偏差値という数字は大人にとってはわかりやすいモノサシのひとつだと思いますが・・・・・偏差値の数字の本当の意味を子どもたちは理解していません(笑)
 
 さらにいえば・・・・・偏差値の数字の本当の意味を理解していない父母の皆さんも多いと思います(苦笑)
 

 中学受験、高校受験、大学受験を問わず、秋にはいろいろな模試がありますが・・・・・それらの模試の母集団と偏差値比較のモノサシをお父さんやお母さんが持っていないと・・・・・判断を間違えますから、ご注意ください

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中学受験の歩き方:親子の温度差その2

2023-11-03

カテゴリー:中学受験の歩き方,

 最近は両親で働いているご家庭も多いため、核家族化が進んだとはいえ、お子さんの学習内容まで把握しているご家庭が少なくなっている気がします。
 
 つまり、お子さんの学習状態(成績)には注意しても、学習内容(カリキュラム)までは把握しておらず、そのため色々な温度差が生まれます
 
 今日は、「えっ、そんなことも知らない(できない)の・・・・・」と親が思うのはなぜかについて書いてみたいと思います。
 
 まず、大前提として把握しておきたいのは学習指導要領についてです。公立の学校で週休2日制を実施するために、2002年度に導入された新学習指導要領下では・・・・・大雑把にいえば、子どもたちの学習時間はその父母の世代の学習時間と比べれば3分の2しか確保されていませんでした。
 
 つまり子どもたちは、父母の皆さんの学習量の3分の2しか習っていなかったわけです。
 
 ですから、当然学習単元は先送りするか削除することになります。
 

 例を挙げると・・・・・現在は「不等式」(父母の世代は中2で学習)は高校1年の配当単元です。つまり、昔は高校入試で当たり前のように出題されていた内容は・・・・・今は大学入試で問われる単元だということです。
  そして、学習時間の減少は小学校での計算演習にも大きく影響していて・・・・・小数第2位の数のかけ算やわり算もかなり軽減されてしまいました。
 
 これがどういう影響を生むかというと・・・・・今の普通の小学生は、電卓を使わずに消費税の計算ができないことになるわけです(消費税を10%に値上げするための国家戦略だった??・・・・苦笑)

 したがって、子どもたちにとっては「習っていないから知らない(できない)」ことが多いので・・・・・・父母の皆さんが「習っているはずだろう」と思っていることでも全く知らないことは良くあるのです!!
 

 現在の学習指導要領で、学習単元が先送りされたり、削除されたりしたことを理解したうえで、お子さんの学習を見直してみると、「えっ、そんなことも知らないの!」ではなく、「そうか・・・・教わっていないのか・・・・・それじゃあ、しかたないか。」になると思いますよ。

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中学受験の歩き方:親子の温度差その1

2023-10-10

カテゴリー:中学受験の歩き方,

 中学受験は親の関わり度合いが多いため、親子間でいろいろな温度差が生まれます。もちろん色々なご家庭がありますから、親子の温度差にも色々あるわけですが・・・・・それらの温度差がなぜ生まれるのかについて数回に渡り、書いてみたいと思います。

 今日は、親が良くつぶやく(?) 「もう入試まで時間がないのに・・・・・・」 についてです(笑)
 
 たとえば、友達と遊んでいて・・・・・今が夕方の4時45分だったとしましょう。そして、周りの大人に、「もう5時だから家に帰りなさい」と注意されたとします。そのとき子どもたちは、「あと15分もあるのになんで5時だと言うんだろう??」と思います。
 
 読者の皆さんは、小学校の頃にこんな経験はありませんでしたか?
 
 子どもがそう思う理由は、

①4時45分と5時00分は違う(概数の概念が身につくにはかなりの経験値が必要です)

②子どもにとっては、「15分もある」であって、「15分しかない」ではない(時間とお金は大人になればなるほど量が必要になります・・・・・苦笑)

③子どもには残された時間がたくさんあるため、つい計画性が乏しくなる(時間の使い方に関する人生経験が乏しいため)
 
というところでしょう。
 
 12年間生きてきた子どもにとっては、1年間という時間は全人生の12分の1ですから・・・・・・36年間生きてきた親の3年間に相当します。
 
 つまり、入試まであと5ヶ月しかないと思って親が焦っていても、小6の子どもとしてはまだ5ヶ月もあるという感覚なわけです。大人にとっての5ヶ月=小学生にとっての15ヶ月以上という感覚ですから・・・・・親の言葉が子どもの心に響かないのもわかりますね(苦笑)
 
 じゃあ、どのようにして子どもに絶対的な残り時間を認識させれば良いのか?
 
 子どもの感覚としてわかりやすい単位で、具体的に残り時間を認識させれば良いのです。
 
 つまり、「○○中入試まであと何日」の日めくりカレンダーを作るとか(親の顔色が変わることのほうが多いようですが)、それから逆算して中学受験の勉強に割くことのできる総時間数を計算させて入試科目数で割るとか・・・・・いろいろな工夫をして、時間の無いことを本人に理解させることで、勉強に対する集中力を上げさせれば良いわけです。
 
 ちなみに・・・・・エクセレントゼミナールでは秋になると、生徒の志望校のうち一番早い日付にあわせた、日めくり入試カレンダーを毎年作成し、教室の前に掲示しています。
 
 そして・・・・・なんと恐ろしいことに、今年は10月10日の時点で、「入試まであと90日」というカレンダーが掲示されています!!


 


 毎日5時間勉強したとして・・・・・450時間ですから・・・・・それを4科目で割ると、1科目あたり110時間しかないことになります!!
 
 さあ、受験生の皆さんどうします??  サボるのやめますか、それとも受験やめますか? この記事が参考になった方は応援クリックをお願いいたします!!

中学受験の歩き方:テスト直しのポイント

2023-07-11

カテゴリー:中学受験の歩き方,

 今回から、プロから見た「中学受験の歩き方」を書いてみたいと思います。エクセレントゼミナールの小6は、7月に入ってから、日能研の「志望校判定テスト」、四谷大塚の「合不合判定テスト」と2回の模試を受験したところです。そこで、今回のテーマは「テスト直しのポイント」としました。

 受験生にかかわらず、勉強する成果を試すのにテストは必須ですが・・・・・どうしても得点や偏差値にこだわってしまうのもテストです。
 
 テスト直しをしないとテストの学習効果は半減してしまいますから、御父母の皆さんはお子さんたちにテスト直しをきちんとやらせる必要があります。では、テスト直しはどこに重点を置くべきなのか?それを箇条書きで書いてみたいと思います。

 
 ①まずやり直すべきはカンで合っていた設問

 ②次にやり直すべきはちょっとしたところで間違えた設問

 ③その次にやり直すべきは正答率の高い設問

 ④やり直すべきでないのは正答率の低い設問
 
 
 ①は解答を記入した本人以外わからないため、テスト結果表面に現れないのですが・・・・・実は一番大切です。なぜならば、カンで合っていた設問というのは、ある意味いいところまでは論理的に導けた設問であり、理屈で正答できるところまでは行っていない問題なわけです。
 
 つまり、「なんとなく・・・・・」とか「たしか・・・・・」とかで正答を導けた設問をきちんと復習して、次は「カン」ではなく「確かに」正答できるようにすることが大切なのです。「カン」で正答できるまでには「経験値で正答を導きだせる設問」だからこそ、やり直しがもっとも効果的なのです。ところが、間違いなおしというと、どうしても間違えた設問ばかりに目が行き、合っていた設問はやり直しをしないのが普通です。そして、親や教師がうるさく言えば、②や③に関しては間違え直しはするものの・・・・・①に関しては絶対に間違えなおしをしないのが子どもです(笑)
 
 そして、それを放っておくと・・・・・「この間はできてたのに、何で今回は間違えたの!!」というハメになります。
 
 したがって、絶対にやり直すべきなのはカンで合っていた問題で、やり直すことが時間のムダになるのは、明らかに受験者の能力を超えているためできない設問です(苦笑)
 
 「間違えたところは全部やり直しなさい」という指示をする親御さんも多いと思いますが・・・・・もしも全体の正答率が10%を切っている設問で、かつ、その科目でのお子さんの偏差値が60に満たないならば・・・・・おそらくその設問の間違い直しは時間のムダになります(苦笑)
 
 ですから、時間が足りなくてぜんぜん解いていない問題ならば解き直しをする必要がありますが・・・・・そうでない場合は、他のことに時間を割いたほうが有効なわけです。というわけで、この記事が参考になった方は応援クリックお願いいたします!!
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