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中学入試に役立つ学習法:国語編その5

2022-12-27

カテゴリー:中学入試に役立つ学習法:国語編,

 国語編の最後は、詩・短歌・俳句の読解法です。実を言うと、中学入試ではこれらの出題率はあまり高くありません。これらをよく出題する学校は、雙葉中・共立中・跡見中などの女子中学校であり、国語としては大事な単元なのですが、どの中学でも入試に良く出る単元というわけではありません。ただ、これらの読解が苦手な生徒は男子を中心に多いので、基本事項をまとめておきます。
 
 詩・短歌・俳句の基本事項
 
 ①詩の表現技法に注目しよう : 表現技法は作者の意図が込められている箇所ですから、そこに注目すれば、自然と作者の強調したい事柄(感動した事柄)がはっきりします。詩の表現技法をまとめると、以下に挙げる7つになります。
 
 比喩法・・・・直喩法(明喩)・隠喩法(暗喩)・擬人法の3種類があります。
 倒置法・・・・語順の前後を入れ替える表現法です。
 体言止め・・・文末や行末を体言(名詞)で終わらせる表現法です。
 省略法・・・・ある言葉や表現を省略することで逆に印象を強める表現法です。
 対句法・・・・対となる言葉を使って、同じ組み立ての語句をリズム良く並べることで強調する表現法です。
 反復法・・・・同じ言葉・語句を繰り返すことで、リズムを取りながら強調する表現法です。
 呼びかけ・・・作品中の題材や読者に呼びかける表現法です。
 
 ②詩の種類を覚えよう : 現代の詩は、口語・自由・叙情が基本ですが、詩の分類についても覚えておきましょう。
 
 言葉による分類・・・・口語詩文語詩に分けられます。
 形式による分類・・・・定型詩散文詩自由詩に分けられます。
 内容による分類・・・・叙事詩叙情詩に分けられます。
 
 ③短歌の「句切れ」に注目しよう : 短歌には、意味や言葉のつながりの上で、後の句に続かずに切れるところがあり、これを「句切れ」といいます。切れる位置によって、初句切れ二句切れ三句切れ四句切れがあります。「句切れ」を意識して、語句のつながり、意味のまとまりに注意しながらていねいに短歌を読みましょう。たとえば「ふるさとの なまりなつかし 停車場の 人ごみの中に そを聴きにゆく」という石川啄木の短歌では「ふるさとの なまりなつかし」「停車場の 人ごみの中に そを聴きにゆく」の間に句切れがありますから、これは二句切れの短歌です。つまり、ふるさとのなまりがなつかしい、だから(そこで)、停車場にそれ(なまり)を聴きにゆく、となるわけです。
 
 ④短歌の「枕詞」を覚えよう : 短歌においても、詩と同様の表現技法(上記ア〜キ)がありますが、短歌では「枕詞」と呼ばれる表現法があります。「たらちねの」ならに続く枕詞、「ぬばたまの」であればに続く枕詞というように、そんなにたくさんあるわけではありませんから、きちんと覚えておきましょう。
 
 ⑤短歌の「感動を表す言葉」に注目しよう : 感動を表す「けり・かな・かも」がついた言葉、倒置法で前に出された言葉、句切れや結句の言葉などに注目して、作者の感動や気持ちを読み取りましょう
 
 ⑥俳句の「季語」を覚えよう : 俳句は「季節感の文学」ですから、句の中に必ず一つ「季語(季節を表す言葉)」があります。ただし、「季語」で表された季節が、旧暦で表された季節であるため、現在の季節感とはずれているものやわかりにくいものがあり、それらが出題されることが多くなっています。旧暦では、立春(節分の翌日にあたるので2月4日)〜立夏が春、立夏〜立秋が夏、立秋〜立冬が冬、立冬〜節分が冬になりますから、現在の暦と比べておおまかに言うと、現在の「2月・3月・4月が春」、「5月・6月・7月が夏」、「8月・9月・10月が秋」、「11月・12月・1月が冬」を表すと思えば良いでしょう。ちなみに「夏も近づく八十八夜」(茶摘)とか「二百十日」(台風)などの日数はいずれも2月4日の立春から数えた日数であることを覚えておきましょう。
 
 ⑦俳句の「切れ字」に注目しよう : 俳句には「や」「かな」「けり」など、意味の切れ目に用いる特別な言葉があり、これを「切れ字」といいます。「切れ字」は作者の「感動の中心」を表すときに使われます。俳句にも詩や短歌と同様の表現技法が使われますが、「切れ字」は俳句特有の表現技法です。
 
 ⑧有名な短歌・俳句を暗記しよう : 中学入試で良く出題される短歌や俳句は有名な作品ばかりです。覚えておくべき短歌(約100)や俳句(約150)はそれほど多くはありませんので、これらについては暗記するようにしましょう。
 
 やっと物語文、論説文、随筆、詩・短歌・俳句の四分野について書き終わりました。これで国語編の「基礎力を上げる方法」は終わりです。
 「エッ、まだ続くの・・・・・・」という読者も多いと思いますので「応用力を上げる方法」については、また後日書いていきたいと思います。それでは、また。

中学入試に役立つ学習法:国語編その4

2022-11-29

カテゴリー:中学入試に役立つ学習法:国語編,

 小学生にとって最も難しいのが随筆文です。なぜならば、まだ12年間しか人生経験がない彼らに「大人の経験・感想・意見を理解しなさい。」というのが随筆だからです。ですから、随筆文の読解は、子どもらしい子どもには無理なのです。しかし入試では得点を取らなければならない。ではどのようにすれば少しでも随筆の内容が理解できるようになるのか、について書いていきます。
 
 随筆の読解法
 
 ①事実と筆者の意見や感想を読み分けよう : 随筆には具体的な事実と、それに対する筆者の意見や感想を書いた部分とがあります。筆者の意見や感想にだけ注目すると、随筆の主題が見えてきます。
 
 ②筆者の意見や感想から筆者の考え方(価値観)を見抜こう : 人には様々な価値観があります。価値観というものは、その人の育った環境や経験、立場の違いによって作られていきます。したがって随筆を読むということは、自分以外の人と対話をし、価値観の違いや他の人の経験から学ぶことにほかなりません。ですから自分以外の、しかも経験の多い大人が、物事をどのように見て、どのように感じたかを読み取ることは、何よりも自分を成長させることになるわけです。
 
 ③設問をヒントにしよう : 随筆を読むときには、設問がヒントになることが多々あります。随筆では、論説文とは違って、行間に隠された筆者の想いを読み取る設問が多いため、「〜なのはなぜですか。」という問いに答えることで、本文内容が理解できる文章が多いのです。したがって、ざっと読んでも言いたいことがよくわからない随筆だったならば、設問内容をヒントにしながら読むと内容が把握できます
 
 ④難しい言葉はきちんと復習しておこう : 子どもがあまり使わない言葉で、しかし味わいのある言葉が随筆にはたくさん出てきます。寂寥、憂愁、暮れなずむ(意味、読みなどは下記参照)など、聞きなれない言葉は教師や親にちゃんと訊いておきましょう。もちろん、問題文の最後に注釈が書かれている言葉もです。そしてそれらの言葉が、どのような場面で、どのように使われ、どういったニュアンスをあらわすのかを覚えましょう。
 
 やっと終わりが見えてきた国語編。四種類に大別した残りは、詩・短歌・俳句になります。さてここで、物語文・論説文・随筆を読む上で最も大切なことに触れておきましょう。
 
 それは「国語の文章の読み方と、算数や社会や理科の問題の読み方は違う」ということです。
 
 算数や社会や理科の問題を読むときには、いわゆるベタ読み、つまり一字一句もらさない精読が必要であり、それをしなければ情報を見落とすことになりますが、国語の文章を読むときに同じことをやっていては、試験時間内に問題を解き終わることは不可能です。したがって国語の試験では、本文のナナメ読み、つまりざっと本文の内容を把握した後に、設問にしたがって傍線部付近を精読して解答するというテクニックが必要になります。
 このナナメ読みができるようになるためには、本を読むときにできるだけ早く読もうと心がけることです。国語であれ、英語であれ、語学のできる人は、このナナメ読みによる内容把握能力が高い人です。速読能力を高めるためにも、本を読むときは時間を区切って読む練習をすると良いでしょう。
 
 
寂寥(せきりょう)―Ⅰ.心が満ち足りず、もの寂しいこと。Ⅱ.ひっそりとしてもの寂しいさま。
憂愁(ゆうしゅう)―うれえ悲しむこと。気分が晴れず沈むこと。
暮れなずむ(くれなずむ)―日が暮れそうで、なかなか暮れないでいるさま。

中学入試に役立つ学習法:国語編その3

2022-11-01

カテゴリー:中学入試に役立つ学習法:国語編,

 今日は論説文に関する読解法について書きます。論説文は、あるテーマに沿って、筆者の持論を述べたものですから「論理」の展開に注目して読むわけです。では、具体的に論説文のどこに気をつければよいのでしょうか。
 
 論説文の注目箇所
 
 ①接続語に気をつけよう : 論理の前後の関係を端的にしめすヒントが接続語です。接続語は、順接・逆接・並列・添加・説明・選択・転換の7種に大別されます。順接の接続語は、だから・したがって・そこで・すると・ゆえに等になりますし、選択の接続語は、あるいは・または・それとも・もしくは等になります(ここではすべて書きません)。接続語というものは、いずれも「語句と語句」、「文と文」、「段落と段落」の関係をしめす言葉ですから、接続語に注目すれば前後の関係があきらかになります。
 
 ②形式段落の内容を示す語句に気をつけよう : 説明や論理が長くなったときに使うのが段落分けですが、段落には形式段落と意味段落の2種類があります。形式段落の最初は、一字文下がっているのですぐに見つけられますが、その形式段落内の話題をまとめた重要語句をマーキングすると、形式段落の内容がわかりやすくなります。それらに注目しながら意味段落に分けていくと、論説文の要旨が把握しやすくなります。
 
 ③結論段落に気をつけよう : 論説文の要旨をまとめた結論段落は、文章のはじめや終わりに存在します。したがって、要旨を要約するタイプの設問では、結論段落に書かれている内容を中心にしてまとめれば良いわけです。
 
 ④括弧や傍線部に気をつけよう : 設問になっている箇所は、論説文の内容を生徒に把握させるための、出題者からのヒントになっていることが多いですから、傍線部や括弧になっているところに注意しながら本文を読むようにしましょう。
 
 ⑤難解な熟語は意味を推測しよう : 論説文の文章中には普段あまり見たことのない難解な熟語が多く出てきます。それらの熟語のなかで、複合語だとわかるものは意味を推測しながら本文を読みましょう。たとえば「双方向同時情報化社会」という言葉ならば「二つの(双)」「方向から」「同時に」「情報が発信・共有できるようになっている」「社会」という意味であり、情報の発信者と受信者が相互にかつ同時に情報をやりとりできる世の中という意味です。以前は情報というものは新聞やテレビを通して発信され、読者や視聴者の意見はしばらくしてからでないと反映されなかったのですが、現代ではインターネット通信の普及により、すぐに(同時に)情報のやりとりが可能であり、発信者と受信者の双方が情報を発信・共有できるようになっていますよね。この内容を熟語にしたのが「双方向同時情報化社会」という言葉なわけです。たとえ知らない言葉であっても、文の前後関係から意味を推測できる言葉や熟語に使われている単語から意味を推測できる言葉は意外と多いですから、あきらめずに考えましょう
 
 具体的なマーキングの手法や読解の手順については、実際の文章に沿って詳細な解説を加えていかないと小学生にとってはイメージを掴み辛いと思いますが、上記の点に注意して本文を読むだけでも、読解力が上がりますので試してみてください。

中学入試に役立つ学習法:国語編その2

2022-10-04

カテゴリー:中学入試に役立つ学習法:国語編,

 国語の基礎力を上げる方法
 
 ②「読解」ではを使え!
 
 国語作品の「鑑賞」と「読解」は全く異なるものです。物語の作者や随筆の筆者は、その作品を「鑑賞」して欲しいわけで、国語の「読解」力を上げる教材として作品を書いたわけではありませんから、その作品を「読解」に使われるのは不本意なのでしょう。そのため、最近は著作権保護の目的で、多くの国語の入試問題について、入試問題集に作品の本文を掲載できない場合があるわけです。

 では、「読解」とは何でしょう。英語の文章を読解するときには、本文の大意をつかんだ後で、設問になっている下線部の前後だけに注目しますよね。そして、答えとなる部分は、必ず本文のどこかに存在すから、どこにあったのかを目で探します。つまり、国語の「読解」で問われている箇所は、必ずと言っていいほど問題の本文中に存在し、設問の指示にしたがって、それを探せということなのです。ですから国語の読解では、「頭」を使わず、「目」を使う必要があるわけです。

 じゃあ、実際にはどこに注目すれば良いのでしょう。国語の問題を大別すると、物語文、論説文、随筆、詩・短歌・俳句の4分野に分けられます。それぞれの分野について、少しずつ読解法が異なりますので、まず物語文について書いていきます。

 
 物語文の注目箇所
 
 ①場面の転換に気をつけよう : 時間の経過や新たな登場人物の出現などによって場面が変化するときには、その意味を考えましょう。
 
 ②心情を描写している表現に気をつけよう : 「眉をひそめた」というような直接表現と「いつもより空が暗く見えた」などの間接表現によって、登場人物の心理描写が描かれている箇所に気をつけましょう。
 
 ③主題を意識して読もう : 作者が登場人物たちを通して言いたかったこと(主題)は何なのか、に注意しましょう。入試問題の作成者は、作品のその部分に感動したから、その箇所を設問に使っているのです。したがって作品の主題は、登場人物の台詞やこころの動きを通して、何度も繰り返し主張されています。
 
 ④主人公の心の動きに気をつけよう : 主人公の心の動きは、表情・動作・態度・言動の変化にあらわれます。これらに注意することで、主題が読み取りやすくなります。

中学入試に役立つ学習法:国語編その1

2022-09-06

カテゴリー:中学入試に役立つ学習法:国語編,

中学入試の国語の基礎力を上げる方法
 
 国語の勉強法や成績を上げるのに苦労されている方は非常に多いと思いますが、それは皆さんが日本人だからなのです。つまり、国語も語学である以上、成績を上げる方法は英語の学習法を参考にすると良いのです。しかし、「そう一口に言われても・・・・」と思う方は多いでしょうから、具体的に書いていきます。
 
 ①「日本語の単語力」をつけよう!
 

 本をたくさん読んでいる子に国語ができる人が多いのはなぜでしょう。それはいつもたくさんの「日本語」を読んでいるため、知らず知らずのうちに「ことばの力」つまり日本語の語彙力がついていることが多いからです。ところが、もともと国語が苦手な子に無理やり本を読ませても、なかなか成績は上がりません。それはなぜでしょう。

 英語が苦手な生徒に英文を読ませても、わからない単語や構文が多くて、文章が何を言っているのかがわかりませんよね。それと同じで、国語でもちょっと難しい言葉がたくさん出てくる論説文や随筆になると急に得点が取れなくなる生徒は、語彙力が足りないのです。つまり、「日本語の単語力」が足りないのです。

 じゃあ、どうすれば「日本語の単語力」がつくのか。答えは簡単です。国語の教材の文章に出てきたことばの中で、自分が知らないことばを覚えるのです。具体的には、知らない言葉をマーキングし、先生や親に訊けば良いのです。ただしお子さんに訊かれたときに、「自分で辞書を引きなさい。」と言うのは禁句ですよ。辞書で調べさせるのならば、お子さんと一緒に調べてください。国語が苦手な子どもが辞書を引いても、英語に弱い人が英英辞書を引くのと同じ効果しか生みません。つまり良く意味がわからないままになるわけです。親や教師が言葉の意味を噛み砕いて子どもに教えた時に、初めてその言葉の本当の意味やニュアンスがわかるのです。

 「日本語の単語力」が無いために国語が苦手な子は、いわば戦後の「墨塗り教科書」を読んでいるような状態にあります。知っている英単語だけをつなげて、「きっとこのようなことを言っているのだろう」と推測しながら英語の問題を解くと、簡単な設問は合っていても、問題の核心を突く設問は間違えますよね。あれと同じ状態が、「日本語の単語力」の無い生徒の解き方なのです。ですから、お子さんの国語の成績が不安定な場合は、まず「日本語の単語力」の不足を疑ってください


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